「電子ブック」とは
総称としての「電子ブック」は電子化された書籍および書籍リーダーですが、狭義の「電子ブック」はソニーの商標で、SONY データディスクマンで使用する電子書籍の規格です。1990年に第一号機であるDD-1が発売されました。
EPWINGと似た規格ですが、8cm CD-ROMという小さなCDが、MDぐらいの大きさのキャディに入っています。キャディからCD-ROMをとりだすと、PCでも使えます。初めはPCでの使用を認めていなかったのですが、後期には認めるようになりました。
ISBNが付いていることから分かるように、書籍の扱いで書店ルートで販売されていました。最盛期には230タイトルが発売され、複数の出版社が発売する業界共通規格として、画期的な存在でした。電子ブックリーダーはソニー以外に松下電器も製造していました。
以上、過去形で書きましたが、現在ではデータディスクマンは製造終了となり、電子ブックタイトルは流通在庫のみとなっています。
電子ブックコミッティ(活動終了・リンク切れ(泣))
http://www.ebxa.gr.jp/
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http://web.archive.org/web/*/www.ebxa.gr.jp/
電子ブックの辞書データの資産は、現在ではIC電子辞書に受け継がれています。けれども電子ブックには利用者が辞書を拡張できるという大きなメリットがありました。最近ではIC電子辞書も拡張カードに対応するようになりましたが、メーカー毎に規格が異なり、互換性がありませんし、PCでの活用もできません。少なくとも利用者には電子ブックの方が親切でしょう。
これほどメリットの大きい電子ブックが、なぜ淘汰されたのか?
以下は私見ですが:
(1)IC電子辞書の急速な進歩
キャディに入ったCD-ROMを駆動する電子ブックは、一定の大きさ以上は小さくできません。サイズ、駆動時間の長さ、コンテンツの分量共、IC電子辞書に完敗です。
(2)コンテンツを提供する出版社の都合
IC電子辞書は毎年新機能を追加して買い換え需要を喚起していますので、出版社からすれば同じ辞書を何度も購入してもらえます。電子ブックだと『広辞苑四版』→『広辞苑五版』のように大きな改訂があったとき以外は買い換えてもらえません。
(3)不正コピーが防止できない
著作権保護の仕組みがないので、私的利用の範囲を超えた不正コピーを防止できません。
(4)規格の制約
規格の制約を受けるので、辞書制作者の希望通りの仕様にできないことがあります。例えば外字数には上限があり、書籍通りの体裁で表示するには限界があります。
電子ブックを手に入れる
すっかり見なくなった電子ブックですが、今でも手間をかければ入手できます(ここから本題):
1)流通在庫を探す。ただし大手書店ではほぼ消滅状態。紀伊國屋書店新宿南店はまだあると思います。
2)ネット通販。
a)GETPLUS http://www.getplus.co.jp/category/catedu.reference.language.asp
b)TranRadar電子辞書SHOP http://www.nichigai.co.jp/translator/list2.html
3)ネットオークション。
4)データディスクマンの中古品を入手する(電子ブックが付属している)
5)古書店。意外な掘り出し物を見つける喜びあり。
私が神田で辞書目当てに巡回する古書店を上げておきましょう。
[1] 山田書店(1F)
千代田区神田神保町1-8
http://jimbou.info/town/ab/ab0165.html
- 電子ブックの在庫が常時棚一列くらいあります。
[2] 悠久堂書店
千代田区神田神保町1-3
http://jimbou.info/town/ab/ab0170.html
- たまに辞書CD-ROMの掘り出し物が出ます。ここは辞書も強いですが、山岳関係の書籍・雑誌も豊富です。