hishidaの開発blog

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読書尚友 AndroidX対応

Android ではOSバージョンの下位互換性を確保するためにサポートライブラリというものがある。例えばFragmentはAndroid OS3.0から導入された機能だが、それより以前のAndroidの利用者はFragmentを使ったアプリを実行できない。そこで、標準ライブラリ版のFragmentとは別にサポートライブラリ版のFragmentがあり、サポートライブラリを使うと過去のAndroid OSでも実行することができる。サポートライブラリは便利なので、新機能の追加はほとんどサポートライブラリで提供されてきた。
ところがAndroid OSもバージョンを重ねる毎に、サポートライブラリも肥大し続け、複雑になりすぎたため、Googleはサポートライブラリのメンテナンスを28.0で打ち切り、AndroidX( Android Jetpack )という新しいライブラリを導入した。今でもサポートライブラリを使用することはできるが、なるべくAndroidXに移行することが望ましいとされている。(Android Jetpack はkotlin言語からも利用できるように設計されている)

今回、読書尚友をAndroidXへ移行させたので、防備録として手順を記録しておく。といってもほとんどGoogleの推奨の手順通りで移行できた。

developer.android.com

  1. 移行する前に、サポートライブラリの最終版であるバージョン 28.0.0 まで上げる。
  2. Android Studio 3.2以上では、AndroidXへマイグレーションするツールがあるので、これを使用する。
    メニューバーから [Refactor] -> [Migrate to AndroidX] を選択する。変換候補が表示されるので、 [Do Refactor]を押して実行する。大体はこれだけで変換できる。
  3. 変換漏れがあった場合、.java と .xml 内のパッケージ名を、個別にサポートライブラリのパッケージ名から対応するAndroidXのパッケージ名に修正していく。(クラス名は共通なので変更の必要は無い。)

読書尚友の場合、android.support.v4.*は変換できたが、なぜかandroid.support.v7.*が変換されずに残ったので、手作業で修正が必要だった。全体的にはスムーズにAndroidX化ができた。

なお、AndroidXとサポートライブラリのパッケージ名の対応は以下の通り。

developer.android.com

AndroidXを利用するメリットとして、Android Jetpackの新しい機能が利用できるようになることがある。たとえば、Jetpack Composeという新しいUIツールキットがある。これはSwiftUIのような宣言型のフレームワークであり、より簡単にUIが書けるようになることが期待されている。
もっともCompose自体がまだ頻繁にアップデートされている状態だが、部分的に導入できればいいと思っている。

EBPocket Free for iOS 5年ぶりに更新

Googleから、「Google Mobile Ads SDK のサポート終了スケジュール」というメールが届いた。

developers.google.com

ようするに、Google Mobile Ads SDKにはサポート期間があり、新しいバージョンが出ると3世代前のバージョンのSDKは広告が配信されなくなる。Google Mobile Ads SDKを用いて広告を表示しているアプリは、アップデートを怠ると、広告の配信が止まって広告収入が途切れてしまうと言うことだ。

慌ててGoogle Mobile Ads SDKのバージョンを調べてみると、次のようになっていた。

  Ads SDK サポート終了日 廃止日
EBPocket Free iOS 7.1.0 2022年9月30 日 2023年第2四半期

EBPocket Free for iOSは、このままでは来年第2四半期で広告が止まってしまうので、Google Mobile Ads SDKのバージョンを v7 から v9 に上げることにした。さすがにメジャーバージョンが2つも違うと、関数名や定数名が変わっていてそれなりに対応は大変だった。

EBPocket Free for iOSは最後のリリースが2018年1月で、なんと5年近くもアップデートしていなかったことになる。さすがにソースが古くなったので、現在のEBPocket Pro for iOSのソースからFree版を再作成した。おかげでダークモードやApp Extension による共有など、新しめの機能を追加することができた。

なお、App StoreGoogle Playも、アプリ名称に "free" という価格を表す文字列を入れることができなくなっているので、EBPocket Freeという名称では提出できない。このため、フリー版のアプリ名を、 * Lite に統一することにした。

EBPocekt Lite for Android
EBPocekt Lite for iOS
読書尚友 Lite for Android

EBシリーズについて、今後大きな機能追加は考えていないが、OSのバージョンアップに伴う改訂は可能な限り続けるつもりでいる。

 

EPWING版『ジーニアス英和大辞典』の表示問題について(解決編)

EPWING版『ジーニアス英和大辞典』はEPWINGを代表する大型辞書の一つだが、EBWin4を始めEBシリーズで使用するときに、困った問題が2つある。

問題1:「項目毎」や「全ての項目」表示で、説明が途中までしか表示されない

例えばtakeを検索すると、連続表示*1では当然全ての説明が表示されるが、「項目毎」や「全ての項目」表示の場合、途中で表示が途切れてしまう。

takeを項目毎で表示

最近では以下のサイトでも指摘されている。

baldhatter.hatenablog.com

これはEPWING版『ジーニアス英和大辞典』自体の問題で、通常は検索語の区切りを意味する検索キー記述子(1F41)が、本文中の1,2,3,a,b,のような項番号毎に使用されているからである。
解決方法は、次のように辞書毎の設定でストップコードに 1F090001 を指定する。

辞書の編集でストップコードを指定する

1F09という記述子は、字下げ指定で、1F01 0001 は1字目(=字下げ無し)の意味だが、ジーニアスの場合はこれが項目区切りの代わりとなる。
これで「項目毎」および「全ての項目」表示で、項目の説明が終わりまで表示される。

ストップコード指定後の項目毎表示。説明文が途切れない

問題2:成句を検索したとき、見出しが表示されず説明から表示される

例えば、"take away"を検索すると、次図のように、本文中に見出しが表示されず、説明から表示される。

これは前方検索インデックスの指す本文アドレスが、見出しの次の本文位置を指しているからである。
明らかに辞書側の問題である。

この問題は2017年頃にEBシリーズサポート掲示板でも取り上げられている。

EPWINGジーニアス英和大辞典の表示

EBPocket / EBWin サポート掲示板(終了:閲覧のみ可)

掲示板にもあるように、佐藤様が辞書自体を改編するperlスクリプトを公開してくださっている。 

ジーニアス英和大辞典」の派生語表示修正スクリプト]

http://babelkund.php.xdomain.jp/palm03.html

このスクリプトで改編したHONMONを検索した結果がこちらである。見事に見出し語から表示されている。

なお、記事ではActive Perlが使用されているが、現在はActive PerlのFree版は入手が難しいので、strawberry-perlが代用できる。

strawberryperl.com

この記事を書くに当たり、strawberry-perlで「ジーニアス英和大辞典」の派生語表示修正スクリプトを実行してみたが、問題なく使用できた。
このスクリプトは現在でも使用できるので、perlをインストールする労を厭わない方は、ぜひ試してみられることをお薦めする。

 

*1:EPWINGの本文というのは紙の書籍のように1ページ目から最終ページまで一つの本文になっており、項目の区切りには目に見えない識別子のコードが入っている。それで本のように連続表示するか、辞書の項目毎に表示するかをソフト側で選べるようになっている。これが「連続表示」と「項目毎表示」の違いである。「全ての項目」表示というのは、EBWin4、EBMac,EBPocketの独自のモードで、複数辞書を串刺し検索したときに、辞書毎に一致した項目を連結して表示するモードである。Logophileの「統合表示」に相当する。

macOS Monterey12.6でEBMacの外字が表示されない【解決】

macOS Monterey12.6でEBMacの外字が表示されない」という報告を受け、Macbook AirmacOSをMonterey12.5から12.6に上げたところ、外字ビットマップが全て豆腐になってしまった。

どうもMonterey12.6の問題らしく、海外でも話題になっていた。24bit未満のbmpが表示できないらしい。

discussions.apple.com

次のmacOS Venturaでは表示できるという情報もある。いずれ対応されると思うので、EBMac側ではmacOSの対応を待つこととする。

 

P.S.

この問題はiOS15.7上のEBPocketでも起きていることを確認した。iOS16.0では起きない。

developer.apple.com

iPhone7以前、SE初代、iPad mini 4、iPad Air 2の方は、iOS16にはアップデートできないので、iOS15.7は決してインストールしないようにお薦めする。iOS15.6は署名が取り消されているので、いったん15.7に上げると、二度とダウングレードできないので、積んでしまう。(2022/10/15)

P.S.

2022/10/19に開発者向けに公開されたiOS15.7.1RCをテストしたところ、上記の24bit未満のbitmapが表示できない問題が修正されたようだ。EBPocketで問題なく外字が表示できることを確認した。正式版は10/25にリリースされるとのことなので、しばらくお待ち頂きたい。(2022/10/20)

P.S.

10/25にmacOS Monterey12.6.1がリリースされ、bitmapが表示できない問題が解消していることを確認した。セキュリティアップデートとなっているが、しれっと直してきた。やっぱりバグだったのか。

読書尚友 for iOS ePub・テキスト読み上げ対応

読書尚友 for iOS のリリースから早いもので1年が過ぎた。開発予定の機能で残っていた、「ePub対応」と「テキスト読み上げ」の実装がやっと終わったのでリリースした。

ePub対応は、Android版の機能をほぼJavaからSwiftに移植しただけなので、表現力はほぼ同等である。iOSePubを読むなら定番のブックアプリがあるので、対応の必要はあまりないと思っていたが、ブックにePubを転送するのは割と面倒に感じる。ローカルのePubを日本語縦書きビューアで気軽に読む用途には、使えるのではないだろうか。

テキスト読み上げは、AVSpeechSynthesizer を利用した。Androidに比べると、ずっと簡単に実装できた。バックグラウンドでの再生にも対応しているので、通勤中に耳で読書するような用途にも使えると思う。ただ、肝心のテキスト読み上げのエンジンがAndroidの方が優秀で、iOSだとけっこう不自然な読み方をされてしまう。ちなみに読み上げエンジンはデフォルト(Kyokoというらしい)のほかに、Siriの音声も選択でき、Siriのほうが少し滑らかなようだ。

 

iPhone XS導入

iOS16の対応機種がiPhone8以降となり、小生の所有するiPhone SE(初代)はサポート対象から外れてしまった。
エミュレータがあればiOS16の動作確認はできるが、どうしても実機でないと分からない部分もあり、iOS16対応機種を購入する必要性に迫られた。
要はiOS16以降対応ならよいので、中古のiPhone XSを購入することにした。SE2のほうがコスパはよいのだが、ノッチ付端末の実機をテスト用に欲しかったという事情もある。性能的には現在でも十分通用するし、中古価格も256Gで4万円台で入手できる。
iPhone SEY!mobileのSIMは、n141という、「ワイモバイル版のiPhoneでしか使えない」というものだが、SIMフリー版のXSに差し替えたところ、問題なく使用できた。
バッテリは購入時83%だったが、待ち受けで3日ぐらいは持つので、バッテリ交換はまだ先延ばしできそうである。

さてiPhone XSで読書尚友を動かしたところ、ノッチ付端末特有の不具合が色々とあることがわかった。

  1. タイトル行がノッチに重なってしまう
  2.  画面下部のページ移動のスライダーが、スワイプ領域と重なるため押せない(エミュレータだとマウスで押せるので、気がつかない)

とりあえずノッチ付端末用に表示を調整したバージョンを緊急リリースした。

EBPocketのほうはiPhoneXが出たときに苦労して対応した甲斐があって、特に問題はなかった。

本当は読み上げ機能やePub対応など、まだ実装していない機能があるが、開発のモチベーションが上がらない。気分が上向いてきたら、再開できると思う。

 

読書尚友 iOS版 公開

読書尚友 iOS版を公開しました。 

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